幼い頃からかたくなに守り続けてきたもの・・それは・・
マルシエロの心の音色をたどるMarcielo History
Vol. 2 抑圧されても魂は負けない・・ショスタコーヴィチに惹かれて・・ 
 ベートーヴェンの後、バッハやショパンなどいろいろな出会いはありましたが、ショスタコーヴィチ(1906年〜1975年)はどこかベートーヴェンと系譜として同じ路線にいるような気がしました。特にベートーヴェンの「第5番」とショスタコーヴィチの「第5番」は似ているのです。音楽性というか表現しているものが・・。そしてより今の時代に近いところにいる音楽でした。(ショスタコーヴィチの生まれた)ソビエトは社会主義で文化的にも切りつめられていた状況、そんな中で彼の音楽には魂の息吹が感じられました。抑制されているところで、より本来の純化された人間性が現れているような作品だと私は解釈しています。
 彼は苦悩から歓喜に至るベートーヴェンの「運命」のロジックと同じものをそのまま踏襲していると思いました。背景としてはソビエトの社会主義時代の音楽です。それは大衆に奉仕するという、今から言えば政府に迎合するような曲を書かせられた時期でもありました。たとえばオペラはソビエト政府から批判されていました。批判=死刑というくらいすごい時代です。ソビエトの有名な作曲家は他にもいます。でも抑圧され、苦しみを覚えている中でも、魂だけでは負けていないと言う強い意志のようなもの、それが彼の音楽から伝わってきたのです。自分の人生の中の葛藤、それを打破しようとしている気持ちと、彼の音楽の内容がリンクしたところがあったのです。
 当時、家庭環境などからいろいろと自分を見つめる機会が多く、そういう中で音楽に救われ励まされた部分がありました。それがベートーヴェンでありショスタコーヴィチだったのです。中学になるとバンドやゲームミュージックに興味を持ったりもしますが私の場合はクラシック一辺倒でした。私が生まれた長野県松本市は音楽教育がさかんだったので近代の作曲家であるストラヴィンスキーや武満徹などについて話が出来る友達も多かった。だから特に孤立した状況は感じていなかったです。作曲自体は小学生の頃からアルプスの山をイメージしたりして創っていました。自分の中では4楽章形式の20分もあるような大交響曲なのですが実際に残っているのはメロディーだけで1,2分くらいのもの。中学生になってやっとワルツの曲が出来上がりました。    To be continued.
Vol. 3 原風景を壊されたくない・・芸大時代の葛藤・・ 
Photo by Hiroyuki Takei 撮影協力 ル・ミディ